「…言わなくても、わかんだろ」 だから私は、茜の顔を無理やり掴んでこっちを向かせた。 「言ってくれなきゃ、わかんないよ茜」 「っ、」 茜が言葉に詰まって。 私の手から逃れようと顔をぐぐぐぐっと動かす。 だけど、私も手に力を入れてぐぐぐぐっと阻止した。 そうすれば、茜は諦めたように息を吐いて。 赤い顔で、私を見た。 そして、私に顔を寄せて。 耳元で小さく、呟いて。 私の横を通り抜けて歩き出した。 少し停止してからバッと振り返れば、ポケットに手を突っ込んで歩く、耳の赤い茜。