とっさに、ボイスメモの一番上にある“アレ”の再生ボタンを押した。
早く、早く…!!!
早く流れろ…!!
ミッキーが、鳩尾を抑えて苦しそうに息をする。
そんなミッキーに向かって、歩が鉄パイプを振りかざす。
殴る音と、靴の擦れる音と、荒い息遣い。
そんな静かな空間に響きわたるようにして、それは流れた。
『ねぇ……』
ちょっとくぐもった、低い、篠原柚姫の声。
それに、みんなの動きが止まった。
『なに』
冷たい、私の声。
『なんであんな噂が流れてんのよ…?』
そして、怒りのこもった、きっと彼らの知らない篠原柚姫の声。
歩に目線を移せば目を見開いていて、鉄パイプを握った手が頭上で止まっていた。



