─────誰も声を発しないで、どれだけ経っただろう。




沈黙を破ったのは、茂だった。




「…11時過ぎ…か。まさかお前らがここまで来ちゃうとはね〜。予想外だったわ。そしたらもう俺らでぶつかって決着つけるしかないじゃんね?」




手に持ったわたしのスマホを、ひらひらさせながら言う。




「っ、返してよ、私のスマホ」




いつ落としてもおかしくない状況に、内心ハラハラしてそう言えば、ケタケタと笑いながら、




「焦んなって。はい、ドーゾ」




と何気にすんなりと返してくれた。


差し出されたスマホをバッと奪って、胸の前でギュッと握る。


よかっ、た。