中で殴りあう人たちが見えて、私は緩んでた気持ちをピシッと引き締める。 「日向、お前は、スマホ持ってる夏下茂だけ探して喧嘩しろ。俺らの事は気にすんな。──怪我だけ、すんなよ」 「うん、わかった。───茜もね」 そう言って笑えば、茜のいつもの笑顔が返ってきた。 ここに、あいつらがいるんだ。 ここで、全部、終わらせよう。 ────そうして私は、いつぶりかのその場所に足を踏み入れた。