落とさないようにまたギュッと握れば、茜が警戒するように影に隠れて足を止めた。
「ねぇ、茜、これって──」
「っ、いいから交戦終わるまで失くさず持ってろ!もうすぐ朝陽たちのいる倉庫入るから、気ぃ引き締めろよ」
茜に聞こうと思ったけど、なんだか交わされてしまった。
仕方なく、わたしはジャージの深いポケットに突っ込んで、意識を少し離れたところにある倉庫に集中させる。
倉庫の外に敵がいないと確認したのか、茜は影から出て一番大きい倉庫に向けて歩き出した。
いつも私が過ごしてたところに、まさか、乗り込むことになるとは思わなかったなぁ。
そんなことを思っていれば、倉庫の中から聞こえる音がだんだん大きくなっていく。
近づいてるんだから、当たり前だけど。