そんなわけないじゃん。
こんなに汚い手。
こんなに汚い私。
私は変わらず、幸せになんかなれない。
────ううん、なっちゃいけない。
おばさんに『お金は一ヶ月ごとに渡すし、払えるやつは払っておいてあげるから、独り暮らしして。マンションは用意してある。───悪いけど、一緒には暮らせない』そう言われて私はあの家から出た。
小6で、マンションで独り暮らし。
常識的にはきっと、おかしいんだろう。
…表面上は多仕事の叔母と住んでることになってるけど。
料理もよくわからない私は、まずそこからで。
大変なことはたくさんあった。
でも、人殺しと罵られるよりは幾分かマシだった。本当に。
お金には困ってないし。



