そして車は、この街からどんどん離れていった。
私が犯した罪はなくなることはないのにね。
全ては私が原因で起きたことなのにね。
1人だけ、全てから逃げるように。
車がそこから離れていくのに連れて、罪の意識がだんだんと薄れていっているのに自分自身で気づいていなかった。
何時間か掛かって着いたのは、大きな家。
『す、すごい…』
私、こんなところで暮らせるの?ほんとうに?
ほんとに、生まれかわったみたいな気分だ。
そういえば、おばさんの服もアクセサリーも高そうだもんなぁ。
私もそういうものを身につけられるのかな、なんてウキウキする。───罪悪感なんて、もう、ひとかけらも私には残っていなかった。
全ての原因の私が、人を殺した私が、楽しく過ごすことへの罪悪感。



