でも、私に八つ当たりしつつも、お母さんだって心が完全に壊れてしまわないように耐えてた。
なのに、見えないところでやっていたはずのお母さんへの嫌がらせは、私にもわかるようになって。
だんだん。
だんだんだんだん、悪化していって。
小5の春。
──あの日、お母さんは壊れた。
今思えば、あの日が私とお母さんが最後に会った日。
家に帰ってきたお母さんは、虚ろな目で涙を流していた。
頬は雨に打たれたみたいに濡れて。
服はボロボロになって。
足は怪我をしていて。
『ねぇ、お母さん、どうしたの?』
話しかける私にも反応しない。
そしてお母さんは、私を見て呪文みたいに呟いた。



