そう言って、手に持っていた水着を広げた。
…うへへへへ、やっぱ可愛い。
にやけが止まらない。
海は怖いけど、水着は着るのは楽しみで仕方ないんだもん。
にしても、水着なんて本当いつぶりだろう。
むふふっ。
「ニヤニヤしないで、早く着替えて」
「ぼべっ」
頭を上からバチコーン、ぶたれて、口から奇妙な効果音を出してようやく我に返った。
相変わらずニヤけたまんまだけど。
でもこれ、結構痛いぞ。
こんな強烈な伽耶の愛のパンチをいつも受けてるなんて、まーくんただ者じゃない。
とりあえず、またぶたれると私の頭にインプットされている学問たちがポーンと飛び出そうなのでおとなしく着替えようそうしよう。
伽耶が脱衣所にいったから、私は隅のドレッサーの近くで着替えた。
全身を確して、最後にもう一度正面から自分を映して固まった。
……この水着、ハイスペェェック!!
あまり大きくない私の胸に谷間が出現してるんですけど!
それもフリルのおかげで予想以上に胸が盛れてみえる!
そりゃまあ寄せて上げたけど!!
カップついてるけど!!!
あまりの凄さに絶句しつつ、鏡にへばりつく。
ドレッサーの鏡を動かして、何回も胸を確認した。
「ひぇぇぇやばい巨乳になってるかもぉぉぉ!!!!……あだっ」
謎の奇声を上げた私は、いつの間にか戻ってきてた伽耶に頭を叩かれた。
今度はちょっと優しかった。ありがとう。
…やっぱ嘘、顔がヒドイ。
鏡の向こうに映る伽耶は、この世のものじゃないものを見るような、怪訝な目つきで私を見ながら「なにやってんの」と呟く。
やばい、私の奇行が見られてしまった。
後ろに立っていた伽耶に、あはあはと愛想笑いを送りながら振り返り、再度固まった。
この子、ほんまもんの、巨乳。
胸おっきいんですけど。
「うううっ、私のささやかな喜びをかえせーっ!」
「なに、意味わかんない」
泣き真似しながら訴える私を、伽耶は冷たくかわしてきた。



