でも、頭に溢れそうになる過去の記憶を必死に食い止めてた今の私に、その言葉は──汚いって言葉は。
頭を過去の記憶でいっぱいにするのには、十分すぎた。
食い止めてたはずの過去が溢れて、脳内を埋め尽くす。
私を前に、進めなくさせる。
「…私が汚いことなんて、あの時からわかってる」
彼の背中を押したあの時から。
みんなの人生を狂わせたあの日から。
「──がはっ、!」
視界が涙で歪む。
余裕の笑顔なんて作っていられない。
みっともなく、子供みたいに涙をこぼして、過去を頭から早く振り払いたくて、苦しむ男を急所なんて何にも考えずに蹴った。
「わかってる…、わかってるよ…!」
夜の海みたいにどす黒い涙が、目から溢れてるような気がする。
そんなのは全部気のせいなんだけど。
頭に響き渡る、あの頃からもう何年も経っているのに忘れられない言葉たち。



