「でも───私のせいで、なんて考えんのはやめろよ?日向の悪いクセだし」
「うっ……はぁい」
ごもっとも。
私ってそんなに考えてることがわかりやすいのかな。
「それに今日、スゲーぼーっとしてるし。なんかあった?」
「へ!?いや、ううん、断じて何もなかったよ!?」
……私って、ほんとにわかりやすい。
「まっ、話したくねーならいいけどな!じゃあ俺ちょっと朝陽のとこ行ってくっから!」
笑顔でそういったミッキーは、ほんとのところちょっと寂しそうで私の胸はまた痛くなった。
朝陽さんのところにかけていくミッキーの背中を見送りつつ、私はソファーにボスンと座る。
ソファーが置いてある、倉庫の後ろの位置は風通しが良くないからか、周りに人が少ない。
ソファーに誰も座ってないのをいいことに、私は履いていたスニーカーを脱いでソファーに寝っ転がった。
…落ち着く。
家にいるよりも、よっぽど。
みんなのいる空間ってだけで落ち着く。
それでも、ぼーっとすればどこか遠くに青が見え隠れする。
おばさんに返事も返していない。
返さなきゃ。
でも、なんて返せばいいんだろう。
お母さんに伝えたいことはたくさんある。言いたいこともたくさんある。
でも、怖い。
怖くて、怖くて、ぜんぶ思い出す。
みんなの騒いでる声が聞こえる。
バイクの音が聞こえる。
いつもと同じ空間にいるのに、何かが違って感じる。
それは多分、私の心の中のせいでもあるけど。
交戦のせいでもあるんだと思う。



