「──っ!!……なん、で」
まだ薄暗い朝。
飛び起きた私の、乱れた呼吸だけが寂しい部屋に響いた。
なんで、どうして。
───思い出してしまったんだろう。
忘れたくて、髪をぐしゃりと握り締める。
忘れようとして枕に顔を強く押し付けるけど。
息が苦しい。
胸が痛い。
目からはいつの間にか涙が溢れていた。
頭から、さっきの青が離れなくて。
視界はもっともっと歪んでく。
胸が痛い。切り刻まれたみたいに痛い。
誰か助けてよ、助けて。
「ごめ、ん……ヒック、ごめんなさい……」
逃げたい忘れたい消したい、全て───なかったことにしてしまいたい。
思ってはいけない無責任なことを願う私は、最低なんだ。分かってる。
閉じ込めておいたはずなのに。
溢れ出した過去の闇が、影が、私の生きている意味は何だか分からなくさせた。
そのまま、相変わらずちゃんと働かない頭でぼーっとし続ける。
薄暗かった外はいつの間にか明るくなっていて、私はぼーっとしたまま洗面所まで向かった。