無意識に力んだ顎。 私の口の中にあったべっこう飴が、ガリッ、音を立てて砕けて────いつの間にか溶けた。 どれくらい受話器を握って突っ立ってたんだろう。 さっきまでなってたはずの『プーッ、プーッ』という不通音もいつの間にか切れていた。 頭はまだ、働かない。 ────いつも鳴らないそれは、唐突に鳴って。 私の心を揺らして。 動揺させたまま、切れた。 『──あんたのお母さんが、 あんたに会いたがってるの──』 ショートした思考回路の中で、その言葉だけがリピートされる。