「もし、もし」
『…私よ、元気にしてた?』
叔母さん。
いつもはこんなに早く、『お盆に帰って来なくていい』って電話かけてこないのに。
「元気に、してました」
口にあるべっこう飴が、邪魔で喋りにくい。
鳴り響く音楽が私の働かない頭を余計に動かなくさせる。
『ねぇ、今年のお盆は──家に帰ってこない?』
怖いくらい、猫なで声。
息を無意識のうちに深く吸った。
「なんで、」
小さくなった飴玉が3粒落ちるみたいにぽろぽろ。
口から、か細い声が出る。
『あのね─────………』
叔母さんの口から次に放たれた言葉は、私の思考回路をもっとショートさせた。