──その音が部屋に響きわたった時。



私の思考は、一瞬早く、ぐるぐると回って。





────停止した。




プレーヤーに繋がれた、スピーカーから聴こえてくる音じゃない。


隣の部屋の人の音じゃない。



この音はこの部屋の。




────電話から聞こえてくる音。



『プルルルル、プルルルルルルル』




いつもは、鳴らないのに。

嫌な予感しか、しないのに。


私は思考回路が停止した頭でぼーっとしたままそこまで歩いて行き、受話器をとってその音を────ガチャリ、止めた。