コクリ、頷いた須佐っちは、思い出すのも嫌だという顔で地面を睨みつけながら口を開いた。
「…この間。そこの繁華街の路地裏を俺ら7人で歩いてる時に争う声が聞こえて。気になって見てみたら、そこにさ、男と、その男に守られるようにして立ってる茶髪の女と、その前で座り込んで泣いてる男の彼女がいたんだよ」
「…うん」
茶髪の女、そのフレーズと須佐っちの声のトーンでもう大体のことはわかってしまって。
本当はその先を聞きたくないけど、予測じゃなくて、本当のことをちゃんと聞いておかなくちゃいけないから。
相槌をうった私に少し目線を移してから、須佐っちはまた、日の光で熱くなった地面に目線を落として話し始めた。
だんだんと高くなってきた太陽に比例するように、気温も少しずつ高くなる。
暑いのに。うるさい蝉の声も聞こえるのに。
私たちの周りだけ、にぎやかな夏から切り離されたみたいに静かで。錯覚だけど、どこか冷たかった。



