────次の瞬間。
バイクはありえないスピードで加速した。
茜のスピードとか、比じゃない。
え、え、え、え。
「ひぇええぇえぇ!!!」
怖すぎて頭が真っ白になる。
どうすることもできなくて、私はとりあえずミッキーの腰にしがみついた。
と、言うよりは、ミッキーの腰を締め上げたの方が正しいのかもしれないけど。
「ぐ、ちょ、日向日向苦しいっ!!イテェ!事故る事故る」
「あ、だだだって、こっ怖いんだもん!!ミッキー速すぎぃぃいぃい!!」
焦るミッキーの声も聞き入れず、ただひたすらミッキーの腰を締め上げる。
でも痛いだの事故るだの言っているくせに、ミッキーはスピードを落とさずそのまま走った。
まだ怖いけど、ミッキーの腰を締め上げなくていい程度にスピードにだんだん慣れてきた頃。
───「そこのバイク、止まりなさい!」



