「────全部、終わったら」
響き渡るバイクの音の中で、クリアに茜の声が聞こえる。
「────また、くる。
…ガキじゃねーし遊ばねーけど」
照れてるのか、ツンとしたまま言った茜に。
私も茜のお父さんも吹き出した。
“全部”、それは。
…青嵐とのことだよね。
茜のお父さんも、それがどういう意味なのか詳しくはわからないけどなんとなく察したようで。
心配という気持ちを滲ませながら、でも笑顔で。
「…絶対こい。俺の唯一の家族なんだ、間違っても死んだりするなよ」
そう言った。
“家族”、その言葉にわかりにくいくらい少し、茜の目の中が濡れた。
でも、それを隠すみたいに地面に目を向けて、ちょびっと震える声で、
「ばーーか」
と言った。



