真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【下】




「──じゃ、いくぞ」




──ブォンブォンブォン…


その声を、合図にするように、辺り一面にけたたましい音が鳴り響いた。



心臓を揺さぶるその音に、一瞬びくりとした私。


だけど、すぐにその音が好きになっていた。



その音以外の音を聞こえなくするような、遮断するような大きい音。


“海に行く”そのことに、本当はまだ少し怖がっていた心の中。


でもそんな心の中の恐怖を全てかき消すように、過去のことをかき消すように、耳を劈くその音は私を少し安心させた。


近所の皆さんごめんなさい。


なんて暴走族らしからぬ甘いことを心の中でひっそり思いながら、


「つかまってて」


私の方を振り向いて、ふわりと微笑んだミッキーに頷いてミッキーの腰に手を回した。


一回大きくふかす音がなって、動き出したタイヤに私は“ミッキーだから”と油断していたのかもしれない。



いや、ものすごくしていた。