真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【下】




反撃を受けまいと私の横を早足に通り過ぎて、前でニヤッと笑った茜。




横を通り過ぎる時に耳元でポツリ、呟かれた言葉に。



私はびっくりして、「ふざけんな」と言い終わる前に口を閉じ、足を止めて、目を見開いて茜を見た。



ジッと見つめる私に茜は、照れたのか顔をサッと前に向けて歩いて行ってしまう。



びっくりして停止していた私は数秒経ってから、フッて顔を綻ばせた。




────ねぇ茜。自分で気づいてる?



茜、今までよりずっと、今までで一番、すっきりした顔してるんだよ。



やっぱり、私と茜のお父さんが話していたのを茜は聞いてた。



私ちゃんと茜の役に立てたかな?

お節介って思われなかったんだよね?



こんなんじゃ返しきれないくらい、茜にはいっぱい救ってもらってきたけど。





─────ほんの少し、ほんのちょびっとなら返せたって、思ってもいいよね?






前を歩く茜の広い背中を見て、何でか分からないけど───いや、きっともう分かってる───キュッと締め付けられた胸を無視して、私はその背中めがけて駆け出した。








頭の中で、さっき耳元で呟かれた、



『────サンキュ』




その言葉をリピートさせながら。