「っ、!!」
「子供がそんな、遠回しな愛情望んでないって、わからない…?
茜が言ってた。海とあなたを嫌いになったのは、あなたに『海で一緒に遊ぶこと』をくだらないって言われたから。その気持ち、わかる?茜はあなたも海も大好きだったんだよ。あなたと一緒に遊ぶ海が大好きで、あなたと一緒に海で遊んだ記憶を宝物にしてたのに、それをくだらないって言われた時の茜の気持ちが、まだ、わからないの──?」
あなたにとってはなんでもない一言でも。
みんなにとってはなんでもない一言でもね。
私たちにとったら、言われてる方にとったら、それはすごく心に刺さる言葉の時ってあるの。
忘れられないくらいに。
きっと、茜のお父さんは今の今までそんなこと言ったのを覚えてもいなかったんだろうな。
驚いたような表情で止まっていた。
でもそれから、悲しそうに目を伏せて。
「茜に苦労をかけないようにって必死だったんだ。離婚なんてしちゃったんだから、その分、将来楽にさせてやろうって。でもそれがそんなに、重荷になってたんだな…。目の前じゃなくて、先のことしか見てなかった…」
そう、ポツリと呟いた。
……そっか。
茜のお父さんもお父さんで、いろいろ考えてたんだなぁ。
なんだ、茜、やっぱりめちゃめちゃ愛されてるじゃんか。
そう思ったら嬉しくて、私の顔には笑顔がふわりと浮かんだ。
「それを、茜にいつか伝えてあげて下さい。………それと、生意気な口ばかり叩いてしまってごめんなさい、我を忘れて…」
そういえば、なんてさっき生意気な口をきいたことを思い出して私の顔からシュンと笑顔が消える。
ぺこりと下げた頭に、ぽんぽんという振動が伝わって顔を上げるとそこには笑顔の茜のお父さんがいた。
……笑って、る。
今日会ってから初めて見た笑顔に、私はびっくりしつつ、不覚にもどきりとしてしまった。
茜とどことなくにてる整った顔に、やっぱり親子だなぁなんて思って私もつられて笑顔になった。
「我を忘れるくらい、茜のために親身になってくれる友人がいて、本当に嬉しいよ。私も、失礼なことを言ってしまってすまなかった。時間をかけてだけど、茜との関係も修復できるように頑張ってみるよ」



