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*日向side*
「───その後、ガラス片で手がずたぼろになるわで超大変だったっつの。………これで、親父とはもう関わらなくていいって、思ってたんだけどな。なんでか知らねぇけど、退学だったはずの俺を無理やり転校ってゆー形にして今の高校に入れやがったんだ。それも、その話をされた時、夏休みは絶対別荘に来てくれって言いやがって。
───んな顔で言われて断れっかよ…」
どんな顔だったのか、分からないけど。
茜の苦しそうな声を聞いて、私までキュッと心臓が締め付けられた。
茜の、過去を聞いて痛いほどに分かるところがたくさんあって。重なるところがあって。
泣かなかったけど、ずっと心臓が痛かった。
きっと、美影に出会わなかったら茜は苦しいままだったんだろう。
今もまだ、敷かれたレールの上を歩いてたんだろう。
「茜、話してくれて、ありがとう」
目を見つめてそういうと、茜はまだ切なそうにしながら微笑んだ。