「護ってくれようとしてるのは有り難いし嬉しい。けど、あたしはなるべく平穏に暮らしたいの。出来たら関わりたくない」



これがあたしの正直な気持ち。


護ってくれようとしているこの人達には悪いけど、暴走族と関わるなんて真っ平御免だ。


あたしは楽しい高校生活を送りたい。ここで頷いてはその高校生活が消えて無くなってしまう。それだけは本当に勘弁。



「中田がどう考えるかは分からない。でも、もしあたしと同じ考え方をしていたら?

あたしがアナタ達と関わっていないと知ったら中田は諦めてくれるかもしれない。その可能性が少しでもあるのなら、あたしはその可能性に賭けたいと思ってる」


「………」


「………」


「………分かった」


「十夜……!」



承諾の言葉を口にした失礼男は、近寄ってきた陽へと目を向けた。



「本人が言ってんだ。どうしようもないだろ」


「そうだけど、でももし何かあったら…」


「陽、あたしは大丈夫だから」


「大丈夫?何が大丈夫なんだよ」


「………」



爆笑男から向けられる鋭利な視線。


放たれた言葉は少し怒気を含んでいて。


何て応えて良いのか分からず黙り込んだ。



“大丈夫”



その自信は相手を倒す力を自分が持っているから。


その力を安易に使ってはいけないという事は百も承知。


貴兄とも“約束”してるし。


けど、その約束を破らなければこの人達の仲間にならなきゃいけなくなる。


狙われる事を選ぶか。

それとも仲間になる事を選ぶか。


二つに一つ。


だったらあたしは前者を選ぶ。