Ri.Night Ⅰ 【全完結】




「なんであたしが消えなきゃいけないんですか?」

「いいからさっさと立て」

「………」




だから、なんであたしがこの人に命令されなきゃなんない訳?



「早く」

「………」

「オイ」

「………」

「早く立て」




男からの命令にあたしの中で何かがプツンと切れた。




「……あのさ、何であんたにそんな事言われなきゃなんない訳? 

消えろって言うけどね、あたしの方が先にブランコ乗ってたの!

どうせあんたもブランコに乗りたいだけでしょ!?そんなに乗りたきゃ隣のブランコに乗ったらいいじゃない!!」




キレてしまえば最後、感情なんて抑えられる訳がなく。あたしは、相手が男だという事も忘れて思いっきり感情をぶつけた。




「乗るの!?乗らないの!?言っとくけど此処は譲らないからね!乗るんなら隣に乗ってよ!」




左手にはブランコの鎖。

右手は隣のブランコを指差し、一気に捲し立てる。



男はあたしの猛反撃に驚いているのか、何か言いたげな目であたしを凝視していた。

その表情に少し満足。


けど、数秒もしない内に戻ってしまい、いや、それ以上に顔がゆがんでいき、最終的にはさっきよりも恐ろしい形相であたしを睨み返してきた。