「お前が俺等と関係があるんなら、お前を攻めればいい」
「……あたしを?」
「そう。お前を拉致って俺等を誘き寄せ、鳳皇を潰す。それがアイツの狙いだ。お前は俺等を潰す為の餌だよ」
……餌。
確かに、仲間を拐われて連れ戻しに行かない奴はいない。
そして、拐った仲間をボコボコにすると言われて喧嘩を吹っ掛ける奴もいない。
つまりはそういう事だろう。
けれど。
「それはあたしがアナタ達の仲間だったら、でしょう?」
そうだ。
あたしはこの人達の仲間ではない。
自分で言うのもなんだけど、この人達からすればあたしか拐われた所で別にどうって事はないだろう。
仲間では無い以上、この人達にあたしを助ける義務はない。
「──じゃあお前は自分がどうなってもいいのか?」
「………え?」
不意に聞こえてきた声。
それは、この場で初めて発した失礼男のものだった。


