「お前、壱の前だとしおらしいのな。まぁいいけど」
壱?この人“壱”って言うの?
名前までカッコイイ!
「無視かよ。ってか本題だ本題」
「……本題?」
何だっけ?
あ、確か……。
“お前が公園で胯間を蹴った男”
その事で連れて来られたんだよね?
「見つけたら仲間になるって言ったよな?」
「……ってそっち!?」
「おっ、ナイス突っ込み!」
嬉しくないわ!
「あ、アンタまさかさっきの……」
デタラメでした、とか言うんじゃないでしょうね!?
もしそうだとしたらとんだ食わせ者だ。
嘘なんかついてたらギッタギタにしてやる!
「まぁまぁそう怒んなよ。お前が“見つけ出したら仲間になる”って言ったんだぜ?」
「そんな事言ってないし!“見つけ出したら名前教えてあげるよ”って言ったの!」
「じゃあ名前教えろよ」
「もう知ってるじゃない!」
売り言葉に買い言葉。
互いに一歩も退かず、凄まじい攻防戦が繰り広げられる。
「絶対入らないから!」
逢ったのは二回目なのに、何でこんな喧嘩をしてるんだろう。
ホント意味分かんないし。
「二人共落ち着いて!……煌、ちゃんと説明しないと凛音ちゃんも分からないだろう?」
「凛音も、な?ちゃんと説明するから落ち着けって」
壱さんと陽があたし達の間に割って入り、壱さんは爆笑男……煌?とか言う奴を、陽はあたしを宥めにきた。


