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「屋上は涼しーなー」
「……そうだね。涼しいね」
っていうか落ちまくりだよね。気分が。
視界に広がっているのは真っ青な青空。
……ではなく、うっとおしそうな曇空。
日が傾きかけているせいか、少し薄暗い。
これだったらまだ青空の方がマシだ。余計に気が滅入りそう。
「……で?話ってなんでしたっけ?」
くるりと振り返り、わざと他人行儀にそう問い掛ける。
「あ、タメでいいから」
あたしの態度なんて全く気にしていない様子でパタパタと手を振られ、その笑顔にピシリと青筋が浮き上がった。
……飛び蹴りしたい。
「……陽」
くるりと向き直り、陽の両肩をガシッと掴んで詰め寄る。
「り、凛音……?」
「……あんな男と仲間になるのはやめて凛音ちゃんと一緒に居なさい」
「……はい?」
「ね!?」
「ちょ、凛音……!」
足を一歩踏み出すと、陽も同じように一歩後退し。
それを互いに繰り返していると、
「あんな男って俺の事かよ。お前、相変わらず面白ぇな」
背後からカラカラと愉しそうに笑う爆笑男の声が聞こえてきた。
その笑い声にピタリ、足を止める。
「………」
「凛音チャン?無視すんなよ」
その言葉に振り返ると、視線の先には愉しげに口元を緩ませている爆笑男がいた。
……面倒臭い。


