いきなり二の腕を掴まれたかと思うと強制的に歩かされて。
もう少しでズッコケるところだった。
っていうか、冗談じゃない!
何であたしが行かなきゃいけないのよ!
「ちょっと、あたし関係ないじゃん!」
「関係あるから話そうとしてんだろ?良いのかよ。ここで話ししたら誰かに聞かれるかもしんねぇぜ?」
「……うっ」
「決まりな。ホラ、行くぞ」
「ちょ、痛いってば……!」
流石爆笑男。言葉を詰まらせた隙を狙うとは。
……って感心してる場合じゃなぁーい!
「って事で西上悪ぃーな。凛音借りるわ!」
「え?あ、はい……」
……西上?
あ、
「あーー!」
忘れてた!妃奈の事思いっきり忘れてた!爆笑男と失礼男の印象が強烈過ぎて忘れてたよ!
「妃奈ー!!」
妃奈に向かって右手を伸ばし、上下に振って助けを求める。
「往生際が悪ぃな」
「悪くて結構!あたし妃奈と帰る約束してるの!」
「……チッ。妃奈ちゃん?コイツ借りるね?」
「え?あ、はい!」
「ちょ、妃奈……!」
流されちゃ駄目でしょうが!
妃奈に目を向けると、妃奈は目をぱちくりさせながらあたし達を見ていて。
その様子から察するに、きっと爆笑男の勢いに負けて頷いたのだと分かった。
……そうだよね。妃奈から見ればコワイ集団にしか見えないもんね。
NOなんて言える訳がない。
「妃奈ー!ごめんね!また明日~!」
流石のあたしもここまで来たら抵抗するだけ無駄だということぐらい分かっていて。
不本意だがついていくしか道はないと思った。
あぁ、高校生活数日目にしてこんな事になるとは……。
最悪。


