王子様から急に離され、気分は急降下。
「ちょっと……!!」
誰だ邪魔をする奴は、と振り返ってみれば。
「近すぎるっつーの!」
どうやらあたしの腕を引っ張ったのは陽きゅんだったらしい。
なんだ。陽きゅんなら仕方ない。許そう。
「オイ」
「ハイ?」
呼び掛けられたその声に反射的に返事をすると。
「………あ」
忘れてた。忘れてたよ、爆笑男の事。
さっきあんなにタンカ切ったクセにスコーンとその存在を忘れていた。ついでに失礼男の事も。
「……なによ」
爆笑男は可哀想なものを見るかのような目であたしを見下ろしていて、無性に腹が立った。
「ちょ……」
文句を言ってやろうと口を開けた時、
頭を過ったのはある推測。
も、もしかしてもしかしてもしかして……!
「アンタ!まさかこの人(王子様)もリンチするつもりじゃないでしょうね!?」
「…………は?」
「は?じゃないっつーの!リンチよリンチ!この人と陽をリンチするつもりだったんでしょ!?」
またもや爆笑男に向かってビシッと指を差す。
こんな優しそうな人と可愛い陽をリンチしようとするなんてとんでもない奴だ。
そんな奴はこのあたしがシバいてやる!
……と思っていたら。
「プッ。あはははは……!」
突然、王子様が笑い出した。
……あぅ。笑った顔も超絶可愛い。
……じゃなくて。
あたし、なんで笑われているんだろう。
なんか笑われるような事言ったっけ?


