「あーきっ!」
「うおっ……!」
さっき説教してやらなきゃと言っていたにも関わらず後ろから盛大に飛び付いた。
さほど身長が変わらないせいか、飛び付いてもすぐに足が地面についてしまうけど気にしない。
「そ、その声、もしかして凛音!?」
「あったりー!」
顔を見てもいないのにあたしだと見破った陽。
嬉しいぞ、陽きゅん。
「ちょ……!」
陽は振り返ろうと頑張っているが、あたしが巻き付いているせいでそれもかなわず。
「苦しい…!取り敢えず離せ」と懇願する陽を渋々離し、顔を見合わせた。
「可愛い~」
苦しんでいる表情でさえ可愛いなんて、もう陽きゅん最高。
「驚いた」
「……ん?」
嫌がる陽くんの頭を撫で撫でしていると、不意に陽の後方から聞こえてきた声。
陽しか眼中になかったあたしは、その時初めて陽の後ろにいた人達に目を向けた。
瞬間。
「な、なんでっ……!?」
目が合った人。
それは、あたしが今一番逢いたくないと思っていた奴だった。


