「他のクラスは終わるの早かったんだよ。ウチは先生の話が長かったから」
「あ、成る程」
妙に納得。
恭ちゃん先生の話が長すぎてウチのクラスだけ置いてきぼり食らったのね。
「恭ちゃん先生もうちょっと話短くならないのかなぁ……」
「……うーん。でもそれがきっと先生の良い所なんだよ」
「……妃奈……優しい!」
「ゔっ……!」
顔を良ければ性格も良いなんて……!
力一杯抱き締めるあたしはやっぱり懲りていないらしい。
「り、凛音ちゃん…!」
「あ、ごめんごめん」
腕の中で必死にもがく妃奈を見て、やってしまったと慌てて身体を離す。
フラフラになっている妃奈に「ごめんー!」と言って謝り、再び歩みを進めると、
「あれ?アレ、宮原くんじゃない?」
ちょうど図書室の前に差し掛かった時、妃奈が前方を指差してそう言った。
振り向けば、確かに見覚えのある後ろ姿を発見。
明るめハニーブラウンの髪色と、遠目でも分かる小柄な後ろ姿。
絶対陽だ!
間違いない。
だってあたしの中の陽きゅんセンサーがピコーンと反応したから。
絶対そうだ。
陽きゅんだと思うや否や、陽に向かってダッシュするあたし。


