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「妃奈、帰ろー」
「うん、帰ろっか!」
恭ちゃん先生の熱弁がやっと終わり、んーっと大きく背伸びすあたし。
……恭ちゃん先生、相変わらず熱血教師だわ。
朝のホームルームはまだ良いんだけど、授業を受けた後の帰りのホームルームはハッキリ言ってキツい。
最早拷問に近いし。
あの拷問が毎日続くのかと思うとちょっと憂鬱だ……。
「……宮原くん何処に行ったんだろうね?」
鞄を手に持った妃奈が、陽の席に目を見ながらコテンと首を傾げた。
「うーん。サボったまま帰ってそう。っていうかお猿陽きゅんは不良だったんだね……。凛音ちゃんショックだよ」
陽きゅんの席は数時間前から空っぽのまま。
高校生活二日目にして堂々とサボるとはホント怖いもの知らずだ。
あんなに可愛いのに不良だったなんて……。
陽きゅん、お姉さんは哀しいよ。
「妃奈、帰ろっか」
「……うん」
明日会ったら説教してやらなきゃ、と心の中で意気込んで、鞄を手に持つ。
っていうかみんな帰るの早すぎじゃない?
教室を出ると、今ホームルームが終わったばかりだと言うのに廊下には人がいなかった。
そう言えば教室にもあまり人がいなかったような……。
みんな、陽きゅんと同じで不良なのだろうか。


