少しずつ縮まっていく距離と同時に明らかになっていくその人の風貌。

あと数メートルといった所でやっと相手の顔がハッキリと見えた。



──次の瞬間、



「っ、」



その余りにも整った顔立ちに目を見開いた。





綺麗……。

それがその人を見た率直な感想だった。




あたしの周りには整った顔立ちの人が多いからある程度免疫はついているんだけど、それでもこの人を見てものすごく驚いた。

だって、溜め息が出るほど綺麗な顔をした男の人だったから。



兄の中性的な顔とは違い、凛々しくて男らしい感じで、少しつり上がった目尻がこの人の雰囲気とよく合っていると思った。




夜風に揺れる漆黒の髪。

サラサラとなびかないのは、きっと整髪剤のせいだろう。


身にまとうオーラは夜空に輝く満月と同等の輝きを放っていて、なんと言うか、吸い込まれそうな不思議なオーラを醸し出していた。




髪、瞳、雰囲気。
その全てに惹き付けられる。



初対面の人に対してこんな風に感じたのは初めてかもしれない。