「妃奈、門まで一緒に行こうよ!ね?」


「うん!」



入学式で一つ分かった事がある。


この学校には女の子が全校生徒の三分の一しかいないらしい。


校長先生によると数年前まで男子校だったらしく、女の子の大半はインテリア科に入学するんだとか。


だから、普通科に入ったあたしは珍しいんだって。



実はあたし、今だから言えるんだけど、この学校の事よく知らずに決めたんだよね。


S県から離れればどこでも良かったからさ、ママが持ってきてくれた学校案内のパンフレットの中から制服だけ見て決めた。


パンフレットの中身なんか全然見てなかったから、入学式で女の子が少ないって知って驚いたよ。




「じゃあ凛音ちゃん、また明日ね!」


「うん、また明日!バイバーイ!」




校門に着き、お互い手を振ってお別れする。


あたしは右へ。妃奈は左へ。



さて、帰りますか。



くるり、振り返った時だった。



「凛音!待って!」


「………へ?」



後方から聞こえてきたのは自分の名前。



……あれ?学校に知り合いいたっけ?



そう疑問に思いながら振り返ると、



「真紀さん!?」



そこに居たのは、ママの親友、“真紀さん”だった。