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「じゃあ今日はこれで終わります。みんな、明日からよろしくな!」
まるで熱血教師のようにホームルームを締め括った先生は、爽やかな笑みと共に教室を出ていった。
……うーん。担任の先生、何とも言えないキャラだ。濃すぎる。
ホームルームが始まった途端、高校生活について熱く語り出した先生は、語るだけ語ってスッキリしたのか、生徒同士の自己紹介もせずに帰っていってしまった。
このホームルームで分かったのは“前山 恭平”という先生の名前と、……って、先生の名前しか分かってないかも。
あとはよく分かんない高校生活についてしか喋っていない。
……恭ちゃん先生、ナイスキャラだ。
「凛音ちゃん?帰らないの?」
「あ、うん、帰ろっか!」
覗き込むようにしてそう問い掛けてきた妃奈に慌てて返事をし、机の横に掛けている鞄を持って立ち上がる。
「そう言えば凛音ちゃんは家どの辺なの?」
「あたしは学校から歩いて十分ぐらいかなぁ。繁華街の近くだよ」
「そうなんだぁ……。じゃあ反対方向だね。残念……」
……きゅん。
言葉通り残念そうに顔を伏せる妃奈は少しだけ唇を尖らせていて。
その可愛すぎる顔に今すぐ抱き着きたい衝動に駆られた。
あーもー、何この生き物。可愛いすぎるんですけど。
可愛いすぎてヤバイ。
ぎゅーってしたい。ぎゅーって。
今すぐ抱ーきー締ーめーたーいー。
けど、我慢我慢。
痛がる事はしたくないからね。