「ヤダよ!何の為に家出たと思ってんの?あたし彼氏作るんだから!」

『……駄目だ。凛音に彼氏とか絶対許せねぇ』



こっわ!!


電話口から聞こえてきた超低音ボイスに一瞬怯むあたし。


っていうか、そこまで凄まなくてもよくない?


男の話題が出る度思うけど、貴兄ってホントこの話題になると大人気ないよね。

シスコンも大概にして欲しいんですけど。



「別に許して貰わなくてもいいし!高校生になるんだから彼氏ぐらいいいでしょ!?」



今まで飽きる程言ってきた台詞で猛反撃してやる。


あたしだって彼氏ぐらい欲しいし!

だって、今まで彼氏が出来た事ないんだよ!?


と言うか、作れなかったんだよ。二人のせいで。


そりゃあ、あたしに魅力がないのも一つの原因なのかもしれないけどさ。

でも、絶対に二人のせいなんだから!



二人って言うのは貴兄ともう一人、あたしの双子の弟、優音(ユウト)の事で。

優音も貴兄と似ていてあたしの男関係に煩かった。


『あんな奴駄目』だの、『彼氏はまだ早い』だの、二人揃ってグチグチグチグチ。

本当に嫌になってくる。


あたしに彼氏が出来ないのは絶対に二人のせいなんだから!


っていうか、後々に聞いた話では、あたしの知らない所で近寄って来る男を撃退してたらしいし。


もう、ここまで来ると嫌がらせとしか思えないんですけど。


だって、普通そこまでする!?

お陰であたし、貴兄の族関係の人ぐらいしか男友達いないんだけど!


いくらブラコンのあたしでも、流石にこれはキレる。


まぁ、その結果がこの“一人暮らし”なんだけどね。