一度も止まる事なくエレベーターへ走っていき、震えたままの右手でボタンを乱暴に連打する。
エレベーターに乗り込むと、十階のボタンを押してからフラッと壁に凭れた。
まだだ。まだ、駄目。
チン、と軽快な音が鳴り響き、開くドア。
それを合図に、エレベーターから力一杯飛び出した。
全速力で廊下を走り抜け、自分の部屋を目指す。
走って。走って。走って。
何も分からなくなるぐらい走って。
どうしようもないこの気持ちを消し去ってしまいたかった。
でも、どれだけ走っても消えてはくれない。
「……っ」
震える手で鍵を開け、中に入って勢いよくドアを閉める。
「うぅ~」
ドアを背にして、その場にズルズルとしゃがみ込んだ。
「ふっ……ひっく……」
一気に溢れ出す涙。
我慢していた気持ちが涙と共に溢れ出した。
「………っ、なんで?なんで……っ」
なんで十夜の傷が獅鷹のせいなの?
なんで、鳳皇と関わりがあるの?
なん、で………。
膝の上にポタポタと零れ落ちる幾つもの涙。
「うぅ~……」
真っ暗闇の中で聞こえる自分の泣き声が、余計にあたしを闇へと堕とした。


