獅鷹の、せい?
「アイツあの怪我で入院してさ」
「入、院……?」
煌の言葉がまるで刃物の様にあたしの心へと突き刺さる。
「俺はその場に居なかったから詳しくは分かんねぇんだけど、でも、後から聞いた話じゃ……ってお前どうしたんだよ?顔真っ青だぞ?」
煌は途中で話を止め、身を屈めてあたしの顔を覗き込んできた。
……駄目だ。
とてもじゃないけど平気なフリなんて出来ない。
平静なんて、装えない。
「……ごめん。お腹痛い。帰っても、いい?」
「静かだと思ってたら腹痛かったのかよ。ったく、そうならそうと早く言えよな」
「ごめ……」
「部屋まで一人で行けるか?」
煌の焦り様を見ると、あたしの顔色は尋常じゃないぐらい酷いらしい。
かなり焦っている煌はあたしのシートベルトを外してくれて。
その後車から降りてドアを開けてくれた。
怠い腰を何とか持ち上げて車を降り、震える手でドアを閉める。
「大丈夫なのかよ」
「うん。大丈夫」
「なら良けどよ。今日は早く寝ろよ。また明日な」
「送ってくれてありがとう」
車に乗り込んだ煌に小さく笑って、車が去って行くのを見送る。
「……っ、」
車が角を曲がって見えなくなったのを確認すると、自分の意思とは関係なく後ろへと倒れた。
冷たい壁に当たる背中。
……あたしは今、何を聞いた?
そう頭の中で呟いた後、重い身体を無理矢理動かしてその場から勢いよく駆け出した。


