「女のとこだと思ってたんだけどよ。どうやら違ったらしい」
「……え?」
女じゃ、ない?
てっきり好きな人の所だと思っていたあたしは煌の言葉に拍子抜け。
でも、好きな人の所じゃなきゃ何処に行ってるの……?
「まぁ、お前に言っても分かんねぇと思うけど」
「うん」
何?
十夜は一体何処へ行ってるの?
煌から紡がれる低い声色にゴクリと喉を鳴らす。
「……何処に、行ってるの?」
その質問にチラリ、あたしを横目で一瞥した煌は、答える前に車を車道の端へと止めた。
目の前には見慣れた光景があって、マンションの前に着いたのだと分かる。
「アイツが行ってた所は、隣のS県」
「……え?」
S、県?
「あぁ。そう言えばお前もS県から来たんだっけな」
「……っ」
煌のその言葉に息を呑んだ。
……今、S県って言ったよね?
脳内で鳴り響く、警告音。
それはこれ以上聞いたら駄目だと言っているようで。
「俺が思うに、十夜はアイツ等のとこに行ってるんだと思う」
「……アイツ等?」
「あぁ。S県にいる“獅鷹”の所に」
──煌の言葉と共に、鳴り響いていた警告音が跡形も無く消え去った。


