Ri.Night Ⅰ 【全完結】


────…


「なぁ」

「何?」


もうすぐマンションに着こうかという時、ふと何かを思い出したのか、煌が会話を途中で止めてあたしを見た。


「いや、言うの忘れてたけどさ」

「うん」


だから何よ。

もったいぶってないで早く言ってよ。


「この前、十夜が夜出掛けた日あっただろ?」

「夜?」


いつの事?


「あー、と、ホラ、お前が水溜まりに落ちた日」


水溜りに落ちた日?


って、あ、あの時か。


思い出して、ポンッと手を叩く。



あの日は忘れたくても忘れられない。

だって、十夜と初めて一緒にベッドで寝た日だから。



「あの日、お前と寝る前に話してた事あっただろ?十夜が一人で何処かに出掛けてるって」


煌の言葉に、コクリ、無言で頷く。


「あれな、何処に行ってたのか分かった」

「……え、分かったの?」


それってもしかして、煌の言ってた十夜の“好きな人”の所?


「お前、この前、壱とドライブデートとか言って二人で帰っただろ?その時、お前十夜の事壱に言わなかったか?」


……十夜の事?


「うん、言った。『十夜に好きな人がいるって聞いた』『時々居なくなるって言ってたよ』って」


「そう、それ。あの後、壱から聞かれたんだよ。壱も十夜が時々居なくなる事知ってたらしくてな。気になって調べてみたんだとよ」


「……うん」


なんか嫌だ。聞きたくないかも。


だって、十夜の“好きな人”の事でしょ?

そんなの聞きたくないよ。