「──壱、行くぞ」
「了解」
十夜の言葉に直ぐ様立ち上がる壱さん。
「陽と彼方は此処を頼む」
「OK」
「分かった」
二人が頷いたのを確認した十夜は煌へと視線を移し、無言で頷き合う。
「行ってくる」
「……っ、い、行ってらっしゃい!気をつけてね!」
ポンッと頭を軽く叩いて出て行った十夜にそう投げ掛けて、壱さんにも「行ってらっしゃい」と手を振った。
「凛音、送る」
「え?あ、うん……」
煌に声を掛けられて黙り込む。
「俺等、出て行かなきゃいけなくなるかもしれないから。りっちゃんを一人にさせる訳にはいかないんだ」
「うん」
そうだよね。
あたしが此処に居たら迷惑かかっちゃうもんね。
「……皆、大丈夫?」
怪我とかしたりしない?
「心配すんな」
クシャリ、あたしの頭を撫でてソファーから立ち上がる煌。
「ちょ、待って!」
先に行こうとする煌を見て、あたしも慌てて立ち上がる。
おっと。忘れる所だった。
鞄を持とうとした時、視界に入ったのは足元に転がっていた数学の教科書くん。
それを拾い上げ、テーブルの上へ置く。
「陽、彼方バイバイ!怪我、しないでね?」
「大丈夫だって。じゃあな!」
「りっちゃん、また明日!」
「バイバイ!」
陽と彼方と教科書くんに別れを告げ、煌と一緒にリビングから出た。


