「りっちゃんりっちゃん」
「ん?」
「ご褒美のぎゅー」
「ぐぇっ」
頭撫で撫でから突然ハグに変わり、後ろから力一杯抱き締められる。
「彼方、潰れる潰れる!」
膝の上に乗せられてるもんだから逃げ場がなく、彼方にされるがままになっているあたし。
「りっちゃんの抱き心地最高~」
「ちょ、重い!」
グリグリ頬ずりされて、あまりの重たさに暴れまくる。
「りっちゃ──」
──ゴンッ。
「ッッ!」
「えっ!?」
今、凄い音したんですけど!
音と共に解けた拘束。
膝の上から下りて彼方を見れば、彼方は頭を押さえてもがいていた。
「彼方、大丈夫?」
「……大丈夫じゃねぇ」
余程痛かったのか、涙目になっている彼方。
頭を押さえてる所を見ると、どうやら頭に何か当たったらしい。
何が当たったんだろうと下を見た時、
「凛音、こっちに来い」
十夜に呼ばれた。
「ん?」
十夜を見ると、何故か睨んでいて。
なんでキレてるの!?と身を竦ませる。
このまま彼方の近くに居るのも危険だけど、十夜の傍に行くのも危険そうだ。
だけど行かないと余計機嫌が悪くなりそうだから、取り敢えず行く事にした。
ソファーから立ち上がり、涙目になっている彼方の後頭部を一撫でしてから十夜の元へ歩き出す。
この時、煌と壱さんが顔を見合わせて「あーあ」と呟いていた事をあたしは知らなかった。


