何よ。放って行ったくせにさ。
「ちょ、凛音ちゃん?」
「良いの!十夜なんか知らない」
壱さんの腕を掴んで、壱さんと階段上がりますからアピール。
十夜なんか一人で上がればいいんだ。
「ホントに良いの?誤解されちゃうかもよ?」
「……うっ。そうかな?」
「多分」
「……って、こっちの方が誤解されるような……」
「あははは。誤解されちゃえ」
いや、されちゃえって可愛く言われても。
未だにあたしの頭を撫でてる壱さんにハハッと苦笑するしかない。
「十夜、ヤキモチ妬くかもね」
「……ヤキモチなんか妬かないよ」
だって、十夜はあたしの事好きじゃないから。
「凛音ちゃん」
なんて返事していいのか迷ってるような壱さんの声に、アハハと空笑いして。
「壱さん、ありがとう!」
「り、凛音ちゃん?」
掴んでいた腕にぎゅうっと抱き着いてから駆け出した。


