じゃあさ、あたしが抱き着いたりしても“好き”って思わないって事?
だとしたら、気付いて貰うには告白するしかないって事じゃん。
「壱さ~ん。なんで自分の事は分かるのに他人の事は分かんないんだろう」
「自分の事?」
「だって十夜好きな人いるんでしょ?他人の事は分かんないのに自分が好きって事は分かるんだなって思って」
十夜の“好きな人”、か……。
なんだか自分で言ってて虚しくなってきちゃった。
「十夜に好きな人?それ、誰かに聞いたの?」
「うん。煌に聞いた。ずっと前から好きな人がいるって。
今も時々居なくなる事あるから会いに行ってるんじゃないかって言ってた」
「え、煌がそんな事言ったの?夜何処かに出掛けてるのは気付いてたけど、好きな人の所っていうのは……。
それに、十夜が好きなのは──」
そう言って、何故か途中で黙り込んでしまった壱さん。
「壱さん?」
そっと顔を覗き込めば。
「あ、ううん、何でもない」
壱さんはぎこちなく笑って「あ、そうだ」と話を切り替えた。
「はい、これ」
壱さんがポケットから取り出したのは、一枚の小さな紙切れ。
「膝枕券?」
手作り感満載のそれにコテンと首を傾げる。
「さっき言ってた膝枕の」
「えっ!?」
さっき言ってたって、まさかご褒美の?
「っ、」
「……凛音ちゃん?」
か、可愛い!!可愛すぎる!!
きょとんとする壱さんも可愛いけど、“膝枕券”って紙に書いちゃう所が可愛いすぎる!


