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「ありがとう」
倉庫に到着し、バイクから下ろして貰って鞄を肩に担ぐ。
「貸せ」
「へ?いいの?」
「あぁ」
「……ありがと」
勉強道具入りの鞄が手に渡り、空いた方の手であたしの手首を掴む。
やっと慣れてきたかも。
実は何日か前から、十夜はこうやって手首を掴んでくれるようになった。
毎回裾を掴むあたしに『お前が良いなら』と十夜からの申し出があって。
まさか十夜からそんな事を言われるなんて思ってもいなかったあたしは、『どうぞ!』と大きな声で返事した。
『声、デケェよ』
今でも、覚えてる。あの時の十夜の笑顔。
照れくさそうな、優しい笑顔に胸が躍って。
あの時確信したんだよね。自分の気持ち。
本当に十夜の事が好きなんだって。
ふふっと思い出し笑いをした時、突然消えた十夜の温もり。
どうしたんだろうと顔を上げれば、
「とお、や?」
消えた温もりが手のひらへと戻ってきた。
そっと握られた手に鼓動が跳ねる。


