「良かった。まだ来てない」
待ち合わせ場所にはまだ十夜は来てなくて、壁に凭れて息を整えて待つ。
「遅いなぁ……」
待ち合わせ時間はとうに過ぎているのにまだお迎えが来ない。
オカシイなぁ……。待ち合わせ時間10時で合ってたよね?
今の時間は10時5分。
いつも待ち合わせ時間5分前には来てくれるのに。
ポケットからスマホを取り出してスライドする。
十夜に電話しようと履歴を開いた時、
「凛音!」
突然呼びかけられた。
振り向けば、そこに居たのは貴兄で。
「貴兄、どうしたの?」
皆と家に行ったんじゃなかったの?
「お前、財布忘れてんぞ」
「へ?あ、ホントだ」
貴兄が持っているのはあたしの財布。
そう言えばテーブルの上に置きっ放しだった。
「ありがと貴兄!」
財布を受け取って鞄に入れる。
「帰りは迎えに行かなくて良いのか?」
「大丈夫!帰る時また連絡するから!」
迎えに来てくれるのは嬉しいけど、鳳皇の倉庫に迎えに来てとか言える訳がない。
「分かった。帰って来たら皆で前行った焼肉行くか」
「焼肉!?やった!楽しみ!」
「わーい!焼肉だー!」と両手を挙げて貴兄に抱きつく。
「じゃあ勉強頑張ってこいよ」
そう言った貴兄は、あたしの頭を軽く撫でた後戻っていった。


