「ホラ、言ったでしょ。先に連絡入れた方がいいって」
「時人くん……」
呆れたように溜め息を吐きながら頭を撫でてくれる時人くんの笑顔は相変わらずゆるい。
「今日はジュニア居ないんだね」
時人くんが連れ歩いてるフェレットのジュニア。
いつも一緒に居るのに今日は何処にも見当たらない。
「マンションだから動物駄目かと思って連れて来なかったんだ」
「え、このマンション動物駄目だったの?」
「いや、大丈夫だったと思うぜ?」
「そうなの?だったら言ってくれればよかったのに」
「そうだよ貴兄!あーあ。ジュニアに会いたかったー」
「ごめんごめん。てっきり連れて来るもんだと思ってたからさ」
こめかみをポリポリ掻く貴兄に不満を洩らすあたしと時人くん。
……って、こんな世間話はどうでも良くて。
「で、みんな揃ってどうしたの?」
こんな朝早くから皆で来るなんて何かあったの?
「お前に勉強を教えに来た」
「ふーん。勉強を教えに……って、えっ!?勉強!?」
まさかそんな返事が返ってくるとは思わなくて、思わず目をひん剥いてしまった。