「凛音」


「ん?」


ご機嫌で歩いていると、突然十夜に首根っこを掴まれて引き止められた。


苦しい苦しい!いきなり何!?


「あそこ、行くか?」


あそこ?


指を差された方へと目を向ければ、そこにはなんとイラッ〇マの人形がぶら下がったゲーセンが。


「行く行く行く!」


「わーい!」と手を上げて喜べば、浮かれたあたしに気付いた煌達が寄ってきて。


「ガキかよ」と煌に馬鹿にされながらも皆で行くことに。





クレーンが得意な彼方に色んなイラッ〇マをとって貰って、最後は皆でプリクラ撮影。


「陽、変顔ー」


「凛音こそ変顔だろ」


イジメというしがらみが無くなった今、あたしの心は澄み渡る青空のように晴れ晴れとしていた。


後から思えば、この時が一番幸せだったかもしれない。


何も知らなかったこの時が。