彼方に引きずられて外に出ると、十夜がお店の壁に凭れて煙草を吸っていた。
あたし達がお店から出てもこっちを見ようともしない。
……十夜、怒ってる?
さっきもあたし達に声をかけずに先にお店から出て行ったし。
もしかして、あたしが目を逸らしたから怒ってるの?
それとも口喧嘩したから?
思い当たる節が多過ぎて分からない。
けど、怒ってる原因は絶対にあたしだ。
謝った方が、いいよね?
「とお──」
「待たせたな。行くか」
謝りに行こうと一歩足を踏み出した時、タイミング悪く煌がお店から出てきた。
「あっ、煌、ごちそうさま!ありがと!」
「今日は雷が奢ってくれたから雷に言え」
「雷さんが!?じゃあ──」
「今じゃなくてもいいっつーの。次来た時に言え」
雷さんにお礼を言いに行こうとしたら、ガシッと頭を掴まれて阻止された。
「煌!分かったから離して!」
「行くぞ」
もう、馬鹿力!手加減してよね!
先に歩き出した煌の背中を睨みながら、あたしも続いて歩き出す。