頭を上げたあたしは直ぐ様回れ右をし、その場から立ち去ろうと足を踏み出した───が。


「………っ!?」



突然手首を掴まれ、それ以上先へは進めなくなってしまった。



……っ、もう!何なの!?



「帰るんなら送る!けど、仲間にすんのは諦めねぇからな。だから名前教えろよ」


「は!?ヤダ!仲間になる気なんてないって言ってるでしょ!?」



あまりのしつこさに段々と苛立ってくる。



「離して!」



掴まれた手を思いっきり振り払い、顔を逸らす。


ったく、顔が良いからって何でも思い通りになるとは思わないでよね!



「逃げても絶対見つけ出してやるけど」

「……っ」



拒否しても尚、諦めようとしない男。

何故そこまでして仲間に入れたがるのかが分からない。

どう見たってただの気まぐれにしか思えないし。


ギリっと唇を噛み締めるあたしを見て、愉しげに口元を緩ませている男。


……コイツ、絶対性格悪そう。